世間様に媚びるべく、今日はコミュ障の克服方法について考えてみたいと思います。
まず、結論から言いましょう。
コミュ障は治せますが、
だからといってリア充にはなれません

今更キャラチェンジなんてそうそうできるものではありません。 
三つ子の魂百までと言いますし、無理なモノは無理です。諦めましょう。
しかし、ある程度はコミュ力がないと現代社会で生きていくのは難しいでしょう。

したがって、本稿では「簡単な接客業務ができる」レベルの能力を想定したいと思います。 
とはいえ、まずはコミュ力およびコミュ障の定義からする必要があるでしょう。
(書いているうちに乗ってしまい、5000字を優に超える内容になっていますので、面倒な人はまとめだけ読めばいいと思います)

コミュ力の定義

筆者はコミュ力を以下のように定義したいと思います。
komyusyou
上図で灰色になっている部分が本稿で扱う分野となります。
関係構築能力は筆者がわかりませんし、それがなくても人生どうにかなるので省きました。
以下、各項目について説明します。

情報伝達能力

情報伝達能力はコミュ力の基礎となる能力です。
これさえあれば最低限生きていけます。きっと。
しかし、基礎ゆえにここをちゃんとしないとコミュ障まっしぐらとなるところではあるでしょう。
能動的情報伝達能力は状況/要求を系統立てて伝えることのできる能力、受動的情報理解能力は相手の話している内容を理解する能力と言い換えることができます。
詳細に言うと、能動的情報伝達能力は
  1. 状況/要求を伝えられる
  2. 状況/要求を系統立てて伝えられる
  3. 相手にとって快いかたちで状況/要求を伝えられる
の順で難しくなり、受動的情報理解能力は
  1. 相手が明言していることが理解できる
  2. 系統立っていない話でも理解できる
  3. やんわり伝えられても理解できる
の順で難しくなります。
本稿では主に、能動的情報伝達能力に絞って解説したいと思います。

交渉能力

これは名前の通り、交渉を成立させる能力です。
交渉といっても、商談を成功させる類いの能力というよりは「頼み事をうまくやる能力」と言い換えたほうがいいかもしれません。 
詳細に書くと、
  1. 相手が望んでいる場合に交渉を成立させられる
  2. 相手があまり乗り気でなくても交渉を成立させられる
  3. 相手が望んでいなくても交渉を良い落としどころにもっていける
の段階に分けられます。

能動的情報伝達能力の育てかた

たとえば、あなたが待ち合わせに遅刻するときのことを考えましょう。
友人を待たせてしまっている時、どう言えば良いでしょうか。
  • 遅れます
  • 電車のダイヤが乱れているので、遅れます
  • 電車のダイヤが乱れているので、15分ほど遅れます
  • 電車のダイヤが乱れて15分ほど遅れるので、先に目的地に行っていてください
  • いま××駅にいるんですが、電車のダイヤが乱れて15分ほど遅れるので、先に目的地に行っていてください
と5パターンくらい挙げてみましたが、下の方にいくほどコミュ力が高い感じになっている(と思います)
友人の親しさによっては一番上でもいいとは思いますが、最低限時間くらいは言っておくべきでしょう。

この場合重要となるのは、相手の知りたいことは何か?ということになります。
自己啓発本的に言えば、相手の気持ちになって考えるということになりますが、相手の気持ちになんてなりようがないのでこの教育はクソだと思っておりますので、こう言い換えましょう。
相手は何も知らないバカだと思え。
コミュ障のみなさんは他人を慮ることが苦手だと思います。私もそうです。
しかし、相手がバカだと思えば自然と余裕も出てきますし、「教えてあげてもよろしくてよ?」的な気分にもなってきやすいと思います。
これを徹底しておけば、1.状況/要求を伝えられるについてはマスターできるでしょう。

では、これを系統立てて伝えるにはどうすればいいでしょうか。
もちろん、原因や理由を先に行ってスラスラ話せれば良いに超したことはありませんが、最悪の場合結論から先に言ってしまうことを推奨します。 
遅刻の例に戻りましょう。AさんとBさんが電話で話しています。
A「ごめん、遅れる!」
B「なんで?」
A「寝坊した!」
B「いつぐらいに着く?」
A「10時15分くらいかなぁ」
B「じゃあ待ってるね」
A「申し訳ない、急ぐので待ってて!」
というかたちで意思の疎通は取れますが、あまり良い方法ではないと思います。
就職活動の面接なら間違いなく落とされるパターンですね。
とはいえ、整理しようとしてかえってこんがらがるよりは数倍良いので自信がなければ相手に甘えましょう。

ここまで出来れば、相手の感じ方を考える余裕も出てくると思います。
このあたりは人によってツボが異なりますし、人を観察するのが一番でしょう。
というか、出来なくても生きていくのに困らないので本稿では扱いません。
 

まとめ

  • 相手はバカだと思え
  • ヤバくなったら相手に甘えろ
ね、簡単でしょう? 

受動的情報理解能力の育て方

こちらは主に理解力です。 
フォーマルな場というか、男女関係以外なら「これはこういう意味ですよね?」と確認すればまぁ大丈夫でしょう。
それが恥ずかしいと思う人もいるかと思いますが、世の中たいていの人は教えたがりなので大丈夫だと思います。知恵袋なんてまさに教えたがりの巣窟ですし。
なお、質問するとキレるおっさんは物事をよくしたい気持ちは微塵もなくて、ただキレて自分の優位性を示したいだけなので無視しましょう。「この人はかわいそうな人なんだ」と思えば余裕も出てきますし、事実かわいそうな人です。
もちろん逃げられない、無視できない状況もあるかと思いますが、筆者は幸いそういう状況に出くわしたことがないので何とも言えません。ごめんなさい。

交渉能力の育て方

ここまで2000字くらいにわたってコミュ力の基礎について考えてきましたが、ここからは交渉能力について考えてみたいと思います。 
まぁ、以下の二冊を読んでおけばフレームワークはわかるとは思いますが、本稿では基礎の基礎について語っていきたいと思います。
コミュニケーションを学ぶ (ちくまプリマー新書)
コミュニケーションを学ぶ (ちくまプリマー新書) [新書]
「できる人」の話し方、その見逃せない法則
「できる人」の話し方、その見逃せない法則 [単行本]

交渉において大事となるのは、相手の望む結果と、相手にとっての最低限の二つです。
相手の望む結果を満たせればそれで万々歳ではありますが、世の中そう上手くはできていません。
とはいえ、交渉のもっていきかたを考える上で、相手の意志を探ることは重要です。

したがって、交渉において重要となるのは準備となります。
新しい企画や製品のアイディアを偉い人の前で発表するときのことを考えてみましょう。
偉い人に自分のアイディアの素晴らしさを理解してもらうためには、偉い人が「何を重要視しているのか」を知る必要がありますよね。
それは単純に利益かもしれませんし、はたまた企業イメージかもしれません。あるいは新規性かもしれません。ですが、どの場合でも彼らの意向に添うように資料を作り、話を運ぶことは必要になります。

これを心がければ、乗り気な人に要求を呑ませる難易度はずいぶん下がると思います。
というより、乗り気な人に要求を諦めさせる方がずっと高い難易度を誇りますし、実際はそちらの方が使えるスキルなのですが。

さて、特に乗り気でない人との交渉はどうすれば良いでしょうか。
一つには、その人にとっての利益を見つけることがあります。ここらへん、もしかしたら恋愛がその能力を開発するのに役立っているのかもしれません。だから恋愛経験のない人は仕事が出来ないと宣うアホがいるんでしょう。このあたりについては頭の良さであったり「相手の気持ちになる」能力(=そんなものあったら苦労しないわクソ)が重要な気がしますので、諦めましょう。
しかし、もう一つ活路があることを忘れてはなりません。コミュ障諸氏は蛇の道を通りましょう。
それは相手の最低限ギリギリまで圧迫する道です。
手っ取り早く言えば恫喝です。
これはいわば強者のとりうる選択肢ですが、それゆえにパワフルです。
そして、一時的な「強さ」であれば数の暴力でけっこう簡単に作れてしまうことは覚えておくといいでしょう。兵法書にも「兵力を集中して攻めろ」と書いてありますしね。
敵が大軍であっても、その布陣が分散していれば陣の薄い部分に奇襲をかけることで戦術的な勝利が得られます。夏見公司先生のライトノベル『なれる!SE』もだいたいそんな話ですね。

例として、好きな子にアプローチかけるのであれば、王道はデートその他で自分を売り込んでいくことですが、我々コミュ障はその子の友達から自分の良い面を売り込んでもらったり、あるいは経済力で親をねじ伏せたりすれば良いという話です。
大事なことなので二回言います。数の暴力は偉大です。

乗り気でない相手に交渉を呑ませる際には、ボトムラインの見極めと出口戦略が重要となりますが、このあたりは先に挙げた高田先生の本のほうがよく書いてあるので割愛します。
出来なくても生きていくことはできますからね。

まとめ

  • 相手の利益になるようにできれば最上である
  • 無理そうならば数の暴力で押し切ろう
ね、簡単でしょう?(2回目)

実践でどう生かすか

ここまで語ってきた概論は、実践ではどう生かせば良いでしょうか。
コミュ障諸氏が陥りがちな心理の克服法も交えつつ、考えていきましょう。

勇気がない・自信がない

これは第一の関門となります。私も初めてお客様の前に出たときはオドオドして大変でした。
そして、この関門突破が最初にして最大の課題となります。
一般には「慣れるしかない」とよく言いますが、慣れようと頑張ってたらこんなことになっていないので、その回答にはゼロ点を与えたいと思います。
じゃあ筆者はどうするかといいますと、
失敗しても自分以外が責任を取る状況にしろ
と回答します。
この点において、実はアルバイトは最高です。アルバイトの不始末はたいてい雇用者の責任です。
あなたがお客様の前で「あ……あ……」と言うbotになったとしても、そのクレームは会社に行くのです。
この素晴らしさを利用しない手はありません。積極的に他人に責任をとらせて、詰め腹を切らせましょう。自分に火の粉がふりかかりそうになったら逃げれば良いのです。

いくらなんでもそんなやり方は邪道だ、卑怯だ、と思う向きもあるでしょう。
しかし、こうは考えられないでしょうか。
コミュ障を客先に出す奴のほうが卑怯である、と。
もう一度言いますね。
開き直って積極的に他人に詰め腹を切らせろ。

嫌われたらどうしよう…

どうせ何を話しても嫌われるのだから話さないほうがマシ、という気持ちも理解できます。
それは関係構築能力の方の問題なのであまり深く扱いませんが、少しは触れておきたいと思います。

中学・高校とそれ以降では、人間関係のモデルは大きく変わります。 
それは一言で言えば空気になりやすさと逃げやすさの差です。
高校までは非常に濃密で閉じた人間関係空間が生成されるのですが、それ以降の人間関係空間は希薄で開けています。

濃密で閉じた人間関係空間では関係を構築しやすい反面、関係を悪化もさせやすくなります。 
そして、希薄で開けた人間関係空間では関係を構築しにくい反面、関係も悪化させにくくなります。何より、逃げやすいのが大きな特徴です。
したがって、あなたがもし「嫌われたらどうしよう…」という意識を持っていて、その源泉が高校生以前の経験に由来するのであれば、開き直ることを推奨します。もし嫌われても逃げやすいのは体感として理解できていると思いますから、逃げやすい空間で練習して、ヤバくなったらすぐ逃げればいいんです。

筆者も逃げたことがあります。しかも、大学のサークルを潰してまで。
責任感の強い読者は逃げることをよしとしないかもしれませんが、筆者はあの時逃げておいてよかったと本気で思っています。
もちろん、数日は良心の呵責に苛まれるかもしれません。しかし、時間というものは偉大で、数日間好きな映画でも見ているうちにそんなものはどこかにいってしまいます。

大丈夫。あなたが逃げたことを恨む人は少数です。
現に私がそうでしたから。

人の目を見て話せない

話せなくていいと思います。必要だと思ったら練習すればいいだけの話です。
実際、筆者は人の目を見て話せませんがどうにかクレームもらわず済みました。
他人はあなたが思うほど、あなたに興味なんか持っていません。
あなたが生きづらくない程度に空気であればそれで満足するのなら、人の目を見て話す必要は皆無です。
たとえ俯いていても「暗い奴なんだな」と思われる程度で済むのですから。

まとめ

畢竟、コミュ力はスキルである以上、ある程度の慣れがないとどうしようもありません。
しかし、ある程度年齢を重ねてしまえば、「慣れ」のためのハードルはどんどん高くなってしまいます。
それはプライドの問題もあると思いますが、周囲とのレベル差が大きな障壁であることも事実です。

そして、プライドはぶっ壊せても、周囲とのレベル差は埋めようがありません。
したがって、レベル差が酷くて全滅しそうになっても必ず逃げたり責任転嫁させられる道を用意しておく必要があります。そうすることでプライドが守られますし、経験値を効率よく稼ぐことができます。
全滅すると、回復に時間がかかりますからね。

大事なことは、自分を大事にすることです。そして、他人をうまく使うことです。
コミュ障諸氏は他人に甘えるのが下手だったり、他人に甘えることをよしとしない人が多い印象ですが、あなたの「甘えすぎ」は普通の甘えです。
もし仮に「甘えすぎ」で「ムカツク」と思われたら、逃げれば良いだけの話です。
逃げることは卑怯でも何でもありません。生存本能に従った正しい行為です。
あなたが逃げたことを批判する者は皆、あなたを生け贄にするつもりでいた人たちなのですから。

というわけで、長くなりましたが、本稿の内容を三行でまとめたいと思います
  1. 他人を軽く見ましょう
  2. 他人に責任をとらせましょう
  3. ヤバくなったら逃げましょう
一見すると「クズ養成講座」ですが、完璧主義にとらわれるよりはクズい方が数百倍マシというものでしょう。